整形外科一般について

整形外科一般イメージ

整形外科一般は、骨や関節、筋肉、神経など、身体を動かすために必要な「運動器」に関する疾患やケガを診療する診療科です。年齢制限はなく、新生児からご高齢の方まで、すべての世代が対象です。
たとえば、赤ちゃんの場合は股関節の開きが悪い、歩き方が不自然、常に同じ方向を向いてしまう(斜頸)といった症状での受診も多く見られます。小児や思春期世代では、スポーツ外傷の他、脊柱側弯症や成長痛などがよくみられます。
日常生活でよくみられる症状として、ぎっくり腰や肩こり、膝の痛みがあります。これらは加齢の影響だけでなく、部位の酷使によっても発症することがあります。また、骨折や捻挫、靱帯損傷、打撲、傷といった外傷も診療の対象です。

診察では、医師が視診・触診を行い評価します。必要に応じて、以下のような検査を行い、診断を確定します。

  • 画像検査:
    X線(レントゲン)、超音波、CT検査など
  • 生体検査:
    骨密度、血圧脈波検査 など
  • 検体検査:
    血液、尿検査、穿刺液検査、微生物検査 など

※MRI検査が必要な場合は、当院から医療連携している近隣病院のMRI検査の予約を取り、検査結果は当院でお伝えします。

また、関節や筋肉の炎症や拘縮がある場合、あるいは外傷による捻挫や打撲に対しては、リハビリテーションを行い、機能の回復・維持も目指します。
さらに、高度な医療機器を用いた検査や治療、入院が必要と判断された場合は、当院と提携している総合病院などの医療機関をご紹介いたします。

整形外科一般で扱う主な症状

  • 首や肩の凝り・痛み
  • 腕が上がらない
  • 手や肘、腕の痛み
  • 背中、腰、臀部、膝、足の痛み
  • 手足のしびれ、感覚の鈍さ
  • 手足の力が入りにくい
  • 指のこわばり、腫れ、痛み
  • 指を伸ばそうとすると引っかかる
  • 突き指、捻挫、骨折、打撲、脱臼など
  • 切り傷、擦り傷、咬み傷など

部位別の主な疾患症状

頚椎椎間板ヘルニア

頚椎の椎間板(骨同士のクッションとなる組織)が変性し、髄核が飛び出すことで神経を圧迫する疾患です。加齢が主な原因ですが、猫背などの悪い姿勢、スポーツや外傷によっても発症します。特に30~50歳代に多く見られます。
症状としては、神経根の圧迫による左右どちらかの腕に放散痛やしびれ、麻痺、筋力低下などがあり、脊髄の圧迫による手や足に麻痺やしびれが現れ、歩行障害や細かい動作が困難になることがあります。
治療は、まず頚椎の安静を保ち、頚椎カラーを装着することもあります。痛みが強い場合は薬物療法(消炎鎮痛剤、筋弛緩薬、湿布)やリハビリとして運動療法を行うこともあります。保存療法で改善が見られず、歩行障害や巧緻運動障害が続く場合は、手術療法を検討します。

頚椎症(変形性頚椎症)

加齢に伴い頚椎の骨や椎間板、靭帯が変性し、痛みや可動域の制限が生じる疾患です。神経の圧迫も伴う場合もあり、頚椎症性脊髄症と頚椎症性神経根症が鑑別されます。
頚椎症性脊髄症の主な症状は脊髄の圧迫により手足の麻痺やしびれが生じるなどで、頚椎症性神経根症の主な症状は神経根の圧迫によって片側の腕に痛みが発生するなどといったものです。
治療は保存療法が基本で、頚椎カラーの装着や薬物療法を行います。超音波治療などのリハビリ加療も適応になります。

後縦靱帯骨化症・黄色靱帯骨化症

椎体の後面にある後縦靱帯が骨のように硬くなり、脊髄を圧迫するのが「後縦靱帯骨化症」。一方、黄色靱帯が骨化し、脊髄を圧迫するのが「黄色靱帯骨化症」です。後縦靱帯骨化症は頚椎に、黄色靱帯骨化症は胸椎に多く発生します。
後縦靱帯骨化症の主な症状は頚部の痛み、手指のしびれ、細かい動作の困難、歩行障害です。黄色靱帯骨化症は主に下半身にしびれや麻痺が生じるといった症状があります。
これらの疾患は指定難病であり、専門的な治療が必要です。
治療は、軽度なら頸椎カラーを装着し安静を保ちます。痛みやしびれが強い場合は薬物療法を行いますが、症状が重度の場合は手術療法が必要になることもあります。
当院医師は難病指定医の資格があり、治療は勿論のこと、医療費の助成などのサポートも行うことができます。

外傷性頚部症候群(むち打ち症)

交通事故などによる衝撃で首に強い外力が加わることで、筋肉や靭帯が損傷し、痛みやしびれが長期間続く状態を指します。
主な症状は首の痛みや頭痛、肩こり、首の可動域の制限、後頭部や背中にかけての痛みなどです。
治療は、強い痛みがある場合は薬物療法を行い、長期化する場合は運動療法(筋力トレーニング、ストレッチなど)を実施します。

肩こり

肩こりイメージ

首や肩の筋肉が硬直し、張りや痛みを感じる状態です。頭痛や吐き気を伴うこともあります。
また、肩こりは2種に大別されます。
症候性肩こりは頚椎神経根症、椎間板ヘルニア、肩関節周囲炎などの疾患が原因です。
本態性肩こりはストレス、長時間のデスクワーク、姿勢の悪さ、運動不足などが原因とされています。

肩こりは予防が大切です。同じ姿勢を長く続けない、肩を温めて筋肉の血行を良くし疲労をとる、適度な運動や体操、入浴し身体を温めリラックスします。
治療は、原因疾患がある場合、その治療を優先します。
本態性肩こりの場合は、マッサージ療法、温熱療法、運動療法(ストレッチ、筋力強化)、安静、薬物療法、局所注射などを取り入れることで症状の改善が期待できます。

五十肩(肩関節周囲炎)

40~60代の方に多く、肩の痛みや可動域の制限がみられる疾患です。炎症により関節組織が硬くなり、痛みが数週間から1年ほど続くことがあります。自然に治ることもありますが、放置すると関節の癒着が進み動かなくなることもあります。
治療は痛みが強い急性期には安静、薬物療法、局所注射が有効です。急性期を過ぎたら温熱療法(ホットパック)、運動療法(拘縮予防や筋肉の強化)などのリハビリが必要です。

肩関節拘縮

五十肩や外傷後など肩が痛くなる疾患を長期間患っているうちに、関節が固まってしまうことが原因です。高齢の方に多く、肩の痛みや可動域の制限がみられる疾患です。
治療は、理学療法士によるリハビリを行うことで肩の可動域を広げて行きます。
痛みが強い場合は消炎鎮痛剤や局所注射を行いながら治療します。

肩腱板断裂

肩関節を安定させる腱板が断裂する疾患です。加齢やスポーツ、外傷が原因で、特に60代に多く見られます。主な症状としては、肩が動かしにくい、運動時・睡眠時の痛み、肩を上げる際に力が入らないなどがあります。
治療は、軽度の場合は消炎鎮痛剤や局所注射で痛みを抑えつつ、リハビリで筋力を強化します。保存療法で改善しない場合は手術療法を検討します。

石灰沈着性腱板炎

肩の腱板にリン酸カルシウム結晶(石灰)が沈着し、強い痛みを引き起こす疾患です。40~50代の女性に多いとされています。
治療は痛みの軽減には局所注射や消炎鎮痛剤や湿布を使用し、運動療法で可動域を改善していきます。

手・腕の疾患

へバーデン結節

手・腕の疾患イメージ

手指の第1関節(DIP関節)の軟骨がすり減り、関節が変形する疾患です。手指の第1関節に痛みと腫れが生じ、進行すると関節が変形(骨が突出し、関節が曲が)します。水ぶくれ(粘液のう腫)のようになることもあります。原因は加齢の他、ホルモンバランスなどの多因子と考えられています。一般的に40歳代以降の女性に多く、近年の研究で女性ホルモンの減少が関係していることがわかってきました。
治療は保存療法では、消炎鎮痛剤、エクオール(サプリメント)、湿布、外用薬を使用し、局所のテーピングや固定を行います。保存療法で痛みが改善せず、変形がひどくなり日常生活に困るような時は手術療法を検討します。

ブシャール結節

示指から小指の第2関節(PIP関節)の軟骨がすり減り、関節が変形する疾患です。手指の第2関節に痛みと腫れが生じ、進行すると関節が変形(骨が突出し、関節が曲が)し、指の曲げ伸ばしが制限されるようになります。女性に多く、家事(包丁や雑巾絞り)などで痛みが強くなることが多いです。原因は加齢の他、へバーデン結節と同様にホルモンバランスなどの多因子と考えられています。
治療は保存療法では、消炎鎮痛剤、エクオール(サプリメント)、湿布、外用薬を使用し、局所のテーピングや固定を行います。保存療法で痛みが改善せず、変形がひどくなり日常生活に困るような時は手術療法を検討します。

マレット変形(腱性・骨性)

突き指の一種で、ボールなどが指先にあたった時に起こり、手指の第1関節が曲がったままで、自分で伸ばそうとしても伸びなくなります。2つのタイプがあり、腱性(指を伸ばす腱が切れた状態)、と骨性(腱がついている骨の一部が折れた状態)です。
治療は病態や骨折後の経過期間によって異なります。腱性ではシーネによる保存療法が原則で、骨折性では手術療法を検討することもあります。

ばね指(弾発指)

指の付け根の腱鞘(腱を包む組織)の炎症で、痛みや腫れが生じます。典型的な症状は指の引っかかりです。握ると引っかかって伸ばせなくなります。更年期の女性や、糖尿病、透析患者さんに発生しやすくなります。原因は手指の使い過ぎやホルモンバランスなど、多因子と考えられています。
治療は保存療法では、消炎鎮痛剤や湿布、外用、超音波治療の他、ストレッチの指導を行います。症状が強い場合は炎症を抑える腱鞘内注射を行いますが、これらの治療で改善が得られない場合は手術療法を検討します。

母指CM関節症

親指のつけねの関節(CM関節)に発生する関節の変形です。物をつまむ時や瓶のふたを開ける時など、母指に力を必要とする動作で痛みが出ます。母指CM関節は良く動く関節のため、使い過ぎや加齢に伴って発症し、外傷による骨折、脱臼後に起こる事もあります。進行すると関節は亜脱臼してきます。
治療は保存療法では、消炎鎮痛剤、湿布、外用薬の使用、固定装具の装着、温熱療法、痛みが強い場合は関節内注射が有効です。保存療法で良くならない場合は、手術療法を検討します。

手根管症候群

手根管症候群は、手首にある「手根管」と呼ばれるトンネル内で、正中神経が圧迫されることで生じる神経の障害です。主に親指から薬指にかけて、痛みやしびれが生じます。特に明け方に強くなり、手を振ることで楽になります。進行すると、親指の付け根の筋肉が萎縮することもあります。
多くは原因不明ですが、女性に多く、特に妊娠期や更年期の女性に発症しやすいとされています。その他、手首の酷使、骨折、人工透析、腫瘍などが関連すると考えられています。
治療は保存療法では、手首の安静、消炎鎮痛剤、ビタミンB12の内服、就寝時に装具で固定をまず行い、保存療法で改善が得られない場合は手術療法を検討します。

ドケルバン病

手首の親指側にある腱鞘の部分で炎症を起こして、腫れと痛みが生じます。特に親指、手首を動かした時に痛みがでます。妊娠、産後、更年期の女性に起こる事が多く、親指を良く使う仕事の人にも見られます。原因は親指の使い過ぎやホルモンバランスなどの他、生まれつきの腱鞘の構造が原因となっていることもあります。
治療は保存療法では、消炎鎮痛剤や湿布、外用、超音波治療の他、ストレッチの指導を行います。症状が強い場合は炎症を抑える腱鞘内注射を行いますが、これらの治療で改善が得られない場合は手術療法を検討します。

橈骨遠位端骨折

手首の親指側の骨の骨折です。症状は手首に強い痛みと腫れがあり、時に変形がみられます。中年以降の閉経後の女性が転倒し、手をついて骨折をする場合が最も多く、骨粗鬆症により骨が脆弱になっていることが骨折の要因になっています。
治療は骨折のずれが少ない場合には、徒手整復をしてギプス固定(4~5週)を施行します。骨折のずれが大きい場合や、亜脱臼がある場合は痛みや機能障害が残らないように手術療法を検討します。固定、術後はリハビリにて温熱療法、ストレッチ、可動域訓練を行います。

ガングリオン

手首や手指の関節周辺にできる腫瘤です。多くの場合強い痛みはありませんが、腫瘤が大きくなり、神経が圧迫されると痛みが出ることもあります。ガングリオンは放置しても心配はありません。大きくなるもの、痛みが強いものには治療が必要です。保存療法は注射器で穿刺吸引をしますが、繰り返し内容物が溜まる場合は手術療法にて摘出することも検討します。

女性ホルモンと手の疾患

手の病気である腱鞘炎、へバーデン結節や手根管症候群などは、手の使い過ぎが原因といわれてきましたが、最近、女性ホルモンであるエストロゲンとの関係性が報告されています。女性ホルモンと手の疾患の関係は、40歳を超えてきた更年期に体内のエストロゲンが減少することにより、手指の関節や腱の周囲になる滑膜組織に炎症がおき、手首や指の痛みが引き起こされているのではないかといわれています。
当院では手外科専門医の女性医師が、患者様にあった治療をご提案させていただきます。
手指や手首の痛み、腫れやしびれなどでお困りの方は、ぜひ受診してください。

肘の疾患

肘内障

肘の靭帯(輪状靭帯)が肘の外側にある骨(橈骨頭)からはずれかかることによっておこります。5歳以下の子供に多くみられ、手を引っ張られた後などに痛がって腕を下げたまま動かさなくなります。状況により、レントゲン検査、超音波検査で骨や関節に異常がないことを確認することもあります。
治療は徒手整復を行います。

肘部管症候群

肘の内側後方を通る尺骨神経に、圧迫や牽引などが加わり生じる神経の障害です。症状は小指と薬指(小指側)のしびれで、進行すると手の筋肉がやせて、小指と薬指が変形をおこします。原因としては、靭帯や腫瘤(ガングリオンなど)による圧迫、加齢や骨折による肘の変形、肘の酷使などが挙げられます。
治療は、軽度の場合は肘を安静にし、消炎鎮痛剤やビタミンB12を内服します。重度の場合には手術療法を検討します。

上腕骨内側上顆炎(ゴルフ肘)

肘の内側の骨(内側上顆)に付着している、手首を曲げる筋肉の起始部が肘内側部で障害され、炎症が生じる病気です。物を持ち上げたり、手首を手のひら側に曲げると肘の内側に痛みを感じます。スポーツなどでの繰り返しの刺激(ゴルフのスイングや野球の投球動作など)、職業上での繰り返し動作や、日常生活での肘の酷使も原因となることがあります。
治療は主に保存療法で、原因となる動作の制限、こまめなストレッチ(手関節、手指をしっかり伸展させる)、消炎鎮痛剤、湿布や外用薬を使用し、炎症が強い場合は炎症を抑える注射をします。リハビリでは、超音波療法、理学療法士によるストレッチを行います。保存療法で改善しない場合は手術療法を検討します。

上腕骨外側上顆炎(テニス肘)

肘の外側の骨(外側上顆)に付着している、手首を伸ばす筋肉の起始部が肘外側部で障害され、炎症が生じる病気です。物をつかんで持ち上げるような動作、タオルを絞る時などに肘の外側から前腕にかけて痛みが出現します。中年以降のテニス愛好家に生じやすいので「テニス肘」とも呼ばれますが、一般的には年齢とともに筋肉が痛んで発症します。手首をよく使う仕事や家事でも発症することがあります。
治療方法は主に保存療法で、原因となる動作の制限、こまめなストレッチ(手首、手指を徐々に曲げます)、消炎鎮痛剤、湿布や外用薬の使用、テニス肘用バンド装着し、炎症が強い場合は炎症を抑える注射をします。リハビリでは、超音波療法、理学療法士によるストレッチを行います。保存療法で改善しない場合は手術療法を検討します。

変形性肘関節症

肘関節の軟骨が変形し、痛みや可動域制限が生じます。原因はスポーツ、重労働などでの肘関節の駆使、肘関節内骨折などの外傷、関節炎などです。
治療は、保存療法で安静(シーネ固定、装具)、消炎鎮痛剤、湿布や外用薬の使用、関節内注射を行い、リハビリで温熱療法、可動域訓練、筋力トレーニングを行います。肘の動きが悪く、強い痛みがあり日常に支障をきたしている場合は手術療法を検討します。

腰・背中

腰痛

腰痛イメージ

腰の痛みを伴う症状を総称して「腰痛症」と呼びます。腰痛には、原因が明確な「特異的腰痛」と、特定の原因がわからない「非特異的腰痛」があります。特異的腰痛は、神経の圧迫、外傷による骨折、脊髄の疾患などが原因で発症し、具体的には腰椎椎間板ヘルニア、腰部脊柱管狭窄症、骨粗しょう症、化膿性脊椎炎などが含まれます。
一方、非特異的腰痛の患者が多く、その中でも発症から4週間以内の急性腰痛と、3か月以上続く慢性腰痛に分けられます。

急性腰痛症

ぎっくり腰(腰椎捻挫)などが代表的で、重いものを持つ・腰をひねるなどの動作が引きになります。腰の筋肉が肉離れを起こしたり、腰椎の関節がずれることが原因です。動くと痛みが出ますが、安静にすると軽減するのが特徴です。通常であれば1週間程度の安静が必要ですが、当科では注射やリハビリで早期の治癒を目指します。

慢性腰痛

腰に鈍く重い痛みが続くのが特徴です。姿勢の悪さ、運動不足、肥満、ストレス、不安、うつ病などが関与していると考えられています。原因に応じた治療を行います。

腰椎椎間板ヘルニア

腰椎椎間板ヘルニアとは、背骨と背骨の間にある「椎間板」という軟骨が変性し、後方へ突出することで神経を圧迫し、腰痛や足のしびれ・放散痛、筋力低下などを引き起こす疾患です。主な原因は加齢ですが、重労働やスポーツによる過度な負担も関与します。
診断にはX線やMRIを用いて、骨の変形や神経の圧迫を確認します。
治療は主に保存療法で、薬物療法、ブロック注射、コルセット装着などが行われます。

腰部脊柱管狭窄症

腰部脊柱管狭窄症とは、加齢などによって腰椎や靭帯(黄色靱帯)が厚くなり、脊柱管を狭窄することで神経を圧迫し、さまざまな症状を引き起こす疾患です。
症状としては、比較的軽度な腰痛、足のしびれや痛み、感覚異常、間歇性跛行(歩くと足がしびれて歩けなくなるが、休むと再び歩ける)などがみられ、重症化すると足の筋力低下、直腸膀胱障害が生じます。
診断と治療はX線やCTを用いて腰椎の変性の程度を確認します。軽度の症状なら保存療法でコルセット装着、薬物療法、神経ブロック注射、リハビリを行います。
保存療法で改善しない場合や重症の場合は、手術療法が検討されます。

腰椎変性すべり症

腰椎変性すべり症とは、腰椎の椎骨が前後にずれてしまう疾患です。加齢による椎間板や関節の変性が主な原因で、中高年の女性に多く発症しやすいのが特徴です。
腰痛の原因となりますが、臀部や大腿部の痛み・しびれ、間歇性跛行などの神経症状が出現した際は、腰部脊柱管狭窄症に対する治療が必要になります。

腰椎分離症・分離すべり症

腰椎分離症は、腰椎椎弓の疲労骨折が原因で発症し、成長期のスポーツをする青少年(中高生)に多くみられます。特に第5腰椎で起こりやすいとされています。
症状として、分離症は腰の曲げ伸ばしや長時間の立ち仕事で痛みが出る、分離すべり症は腰痛に加えて、足の痛み・しびれが生じるといったことが挙げられます。
治療は、成長期であればスポーツの休止・コルセット装着により骨が癒合することもあります。痛みが強い場合は消炎鎮痛剤や神経根ブロック注射を使用していきます。

股関節

変形性股関節症

変形性股関節症とは、股関節の軟骨がすり減ったり、骨が変形したりすることで、関節が破壊される疾患です。主な症状としては、股関節の痛み(特に立ち上がる際や動き始めの痛み)や可動域の制限が挙げられます。進行すると、安静時でも痛みを感じるようになり、歩行が困難になることもあります。発症しやすいのは40歳以降で、特に女性に多いとされています。
発症の原因には一次性と二次性があり、
一次性では明確な原因が特定できませんが、加齢や肥満、重労働が関係するとされています。
二次性では関節リウマチや化膿性関節炎、骨粗鬆症などの疾患や、小児期に発症した先天性股関節脱臼・臼蓋形成不全の後遺症、外傷が原因となるケースが挙げられます。
治療では、まず保存療法による進行抑制を図ります。これには、減量や装具療法、運動療法などが含まれます。また、痛みが強い場合は消炎鎮痛薬、湿布、外用薬の使用やヒアルロン酸注射を行います。保存療法で十分な改善が見られない場合、手術療法を検討します。

膝関節

変形性膝関節症

加齢や膝の酷使、外傷によって膝関節の軟骨がすり減り、関節が変形する疾患です。一次性(明確な原因がないもの)と二次性(関節リウマチや外傷などの明確な原因があるもの)に分類されます。初期症状は動作開始時の痛みで、次第に階段昇降や正座が困難になり、進行すると安静時にも痛みを感じるようになります。
治療は、保存療法で膝関節への負担軽減を目的に、減量や装具療法(サポーター・足底板)、リハビリでは運動療法(可動域訓練、筋力訓練)、物理療法(温熱療法、超音波療法、電気刺激療法)を行います。痛みが強い場合は消炎鎮痛剤や関節内注射で症状を緩和します。保存療法で効果が見られない場合、骨切り術や人工膝関節置換術などの手術療法を検討します。

半月板損傷

膝関節の衝撃を和らげる半月板が、捻り動作などで損傷する疾患です。スポーツ外傷や加齢による変性が主な原因で、小児では先天的な円板状半月板による損傷もあります。
症状として膝の痛み、引っかかり感、可動域制限があり、進行すると膝に水がたまる、ロッキング(膝が動かなくなる)こともあります。
治療は、軽度の損傷ではRICE療法(安静・冷却・圧迫・挙上)や装具・テーピングによる固定、リハビリでは筋力トレーニング、ストレッチを行います。重度の場合は、切除術や縫合術といった手術療法が適用されます。

膝靱帯損傷

膝の靱帯(前十字靱帯・後十字靱帯・内側側副靱帯・外側側副靱帯)がスポーツや交通事故による強い外力で損傷する疾患です。受傷直後は膝の腫れや痛み、可動域制限が生じ、時間とともに不安定感が増します。放置すると半月板や関節軟骨の損傷を引き起こすリスクがあります。
治療はRICE療法・装具療法(サポーターやテーピング)を基本とし、リハビリでは膝の安定性を維持するために筋力トレーニングを実施します。重度の損傷やスポーツ復帰を希望する場合、手術療法が適用されます。

その他の膝の疾患

膝離断性骨軟骨炎

大腿骨の軟骨下骨が剥がれる疾患です。成長期の男子に多く、進行すると関節遊離体(関節ネズミ)となります。治療は安静や手術療法です。

オスグッド病

成長期のスポーツ選手に多く、膝蓋腱の脛骨付着部が炎症を起こします。運動量調整やストレッチ、冷却などで対処します。

膝関節捻挫

強い外力で靱帯や半月板が軽度損傷します。装具やリハビリで回復しますが、詳細な検査が必要です。

足関節捻挫

足関節、いわゆる足首は、内側または外側に強くひねることで外力が加わり、捻挫を引き起こします。主な症状としては、足首の痛みや腫れ、くるぶし周辺の押した際の痛み(圧痛)などが挙げられます。
治療は、受傷直後にRICE療法を用いた応急処置が重要です。軽度の場合は、テーピングや装具で固定し、痛みが強ければ消炎鎮痛剤を使用することもあります。捻挫後1~2週間でリハビリを開始しますが、痛みがある状態で運動をすると慢性化や治療期間の延長につながるため、医師の指示に従うことが大切です。
重度の場合や関節の緩みが強い場合は、ギプスでの固定や、断裂した靱帯を縫合する手術(靱帯縫合術)を行うことがあります。

アキレス腱断裂

アキレス腱は、ふくらはぎの筋肉とかかとの骨をつなぐ腱で、つま先立ちの動作に関与します。ジャンプやダッシュなどの負荷がかかる動作で断裂しやすく、特にスポーツをする30~50代に多く発生します。発症直後は歩行が困難になりますが、時間が経つと歩けるようになることもあります。
治療は、ギプスや装具で固定する保存療法と、縫合手術を行う手術療法があります。運動ができるようになるまでに3~4ヵ月、スポーツ復帰には半年程度の期間が必要です。

外反母趾

外反母趾イメージ

女性に多く見られ、足の親指の関節が「くの字」に変形する疾患です。原因としては、サイズの合わない靴やヒールの高い靴の着用、歩き方、遺伝的要因が挙げられます。主な症状は、変形部分の痛みや、靴との摩擦による出血・潰瘍です。また、親指の爪が人差し指に食い込むこともあります。
治療は、進行を抑える対策が中心になります。痛みには湿布などを使用し、靴の見直しやインソールの使用も推奨されます。変形が進行し、症状が重い場合には、骨を矯正する手術を行います。

扁平足

足裏の土踏まずがなく、足裏全体が地面につく状態を指します。女性に多く、筋力不足や運動不足、長時間の立ち仕事などが要因となることもあります。また、関節リウマチや先天性疾患、外傷が原因となる場合もあります。
治療は保存療法が中心で、筋力トレーニングや関節可動域を広げるリハビリ、適切な靴やインソールの使用が推奨されます。痛みがある場合には、消炎鎮痛剤を使用します。

モートン病

中年以降の女性に多く、足裏の指の付け根(特に中指と薬指)のしびれや痛みを伴う疾患です。神経が骨などに圧迫されることで発症し、ハイヒールの使用や外反母趾、ガングリオンの発生などが原因となります。
治療は、靴の見直しやインソールの使用が基本です。痛みが強い場合には消炎鎮痛剤や局所神経ブロック注射を行い、保存療法で改善しない場合は手術療法を検討します。

足関節骨折

足関節は、脛骨・腓骨・距骨の3つの骨で構成されており、足首に強い外力が加わることで骨折と脱臼が同時に発生することがあります。スポーツ外傷、高所からの転落、交通事故などが主な原因です。足首の痛みや腫れ、変形のほか、皮下出血や歩行困難が見られます。
治療は、骨折のズレが少ない場合、徒手整復を行った後にギプスなどで固定します。ズレが大きく整復が困難な場合や、不安定性が強いと判断された場合には、手術療法が必要になります。

院 長
青木 寛至(あおき ひろみち)
医 師
都丸 倫代(とまる みちよ)
医 師
都丸 真依子(とまる まいこ)
診療科目
整形外科 美容皮膚科
住 所
〒321-0201
栃木県下都賀郡壬生町安塚765-1
TEL
準備中
最寄駅
東武宇都宮線
「おもちゃのまち駅」より徒歩10
駐車場
駐車場あり
整形外科 日祝
9:00~12:30
15:00~18:30
  • :院長 診察
  • :都丸倫代医師 診察(水曜午前/金曜午前)
美容皮膚科 日祝
9:00~12:30
14:00~16:30
  • :カウンセリング、予約施術
  • :予約施術