骨粗鬆症とは

骨粗鬆症とは、骨が弱くなり、骨折しやすくなってしまいます。骨の強さは骨密度(70%)と骨質(30%)で決まります。骨密度は、骨に含まれるカルシウムなどのミネラルの量を測定したもので、骨の強さを評価する指標となります。
骨は、常に古い骨が壊されて(骨吸収)、新しい骨がつくられ(骨形成)、少しずつ置き換わっています。骨粗鬆症は、古い骨が壊される量が増えて、新しい骨を作る作用が追い付かなくなり、このバランスが保たれなくなって、骨が弱くなります。
骨密度は、およそ20歳でピークを迎え、その後徐々に減少していきます。また、閉経後は、女性ホルモンが減少し、骨密度を急激に減少させるため、女性に多い病気です。
また、病気や薬剤の影響で発症することもあります。
骨粗鬆症の症状
骨密度の低下自体には自覚症状がないため、転倒などで簡単に骨折してしまう(脆弱骨折)ことで気づくことが多いです。また、骨が自重を支えきれなくなると、背骨が圧迫骨折を起こし、背中や腰の痛みを伴うことがあります。
特に大腿骨近位部の骨折は、寝たきりの原因となるため注意が必要です。
骨折しやすい部位として、以下の箇所が挙げられます。
- せぼね(胸椎・腰椎圧迫骨折)
- 太ももの付け根の骨(大腿骨近位部骨折)
- 肩の骨(上腕骨近位端骨折)
- 手首の骨(橈骨遠位端骨折)などです。
骨粗鬆症の検査
骨密度検査(DXA法)

骨密度を測定する検査の中で、最も一般的な方法です。
当院では、この方法を用いて、最も脆弱性骨折が多い腰と大腿骨の2か所にX線を照射し、骨密度を測定します。
測定にかかる時間は10分程度で、患者様には横になっていただくだけで検査ができます。負担が少なく、短時間で済むというのも特徴になっています。
X線(レントゲン)検査

胸椎・腰椎圧迫骨折の有無や骨の形や濃さをみます。
血液検査
血液検査や尿検査によって、骨の新陳代謝のバランスや他の疾患の可能性を調べることもあります。
骨粗鬆症の治療
骨粗鬆症は予防が大切です。「骨の生活習慣病」とも呼ばれるため、日常のライフスタイルを見直すことからはじめましょう。
1. 食事療法
骨を丈夫にするために、以下の栄養素を積極的に摂取しましょう。
たんぱく質
骨の半分はたんぱく質でできているので、骨を作る材料になります。
(肉、魚、乳製品、大豆など)
カルシウム
骨の材料となります。多くのカルシウムを一度に摂取するより、毎日かかさず摂取するように心がけましょう。
(牛乳、小魚、大豆製品、小松菜など)
ビタミンD
カルシウムの吸収を助けます。
(サケ、ウナギ 、干しシイタケなど)
※日光にあたると体内でも合成されます。日光浴はおすすめです。
ビタミンK
骨へのカルシウムの沈着に必要なたんぱく質の成熟を促します。骨密度に関与していると言われています。
(ほうれん草や納豆、ブロッコリーなど)
2. 運動療法
適度な運動で骨に負荷をかけることが、骨の強化につながります。
ウォーキング、ジョギング、自転車、水泳 などの有酸素運動(1日30分程度推奨)
体幹トレーニング(転倒予防のため)
3. 薬物療法
必要に応じて、骨吸収抑制薬(ビスホスホネート、SERM など)や骨形成促進薬(PTH製剤 など)、ビタミンD製剤、カルシウム製剤を使用していきます。